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脳神経内科 仲野 達
手が震えたり、動作や歩くのがゆっくりになったりする病気は様々ありますが、その一つに重要な病気としてパーキンソン病があります。
パーキンソン病の症状は一人一人特徴が異なることが多いのですが、安静時に手が振るえたり(安静時振戦)、動作が緩慢になったり、仮面様顔貌といって顔の表情が乏しくなったりします。進行すると姿勢反射障害といって体のバランスがとりにくくなり転倒しやすくなり、歩行障害(すくみ足・小刻み歩行・突進歩行)などの症状が出てきます。それら運動症状以外にも便秘・排尿障害・起立性低血圧などの自律神経障害や、うつ症状、認知症などの精神症状を合併することも知られています。
パーキンソン病が発症する原因はまだまだ解っていないことが多いのですが、脳の一部である中脳にある黒質という組織の細胞が変性・脱落してドーパミン産生が低下することによりさまざまな症状が出現します。中高年以降に発症することが多く、有病率は10万人あたり100~150人で、高齢化社会を迎えている我が国では近年増加しています。
診断は病歴、自覚症状、"神経診察"から総合的に判断します。ドパミントランスポーターSPECTやMIBG心筋シンチグラフィーといった機能画像検査はパーキンソン病と診断するには有用な検査であり、当院でも積極的に取り入れています。しかし画像検査の結果はあくまでも参考所見であり、画像検査の結果から診断する病気ではありません。パーキンソン病が疑われる患者さんには治療薬を内服していただき、治療効果が認められる場合はさらに治療薬を調整していきます。残念ながら根本的な治療法は現在のところまだ開発されておりませんが、症状を緩和するためにたくさんのお薬が使用可能であり、患者さん一人一人にあった組み合わせで治療することが可能です。
パーキンソン病が疑われても治療薬で効果がない場合はパーキンソン病の可能性は低くなり、パーキンソン病類縁疾患(多系統萎縮症、皮質基底核変性症など)として精査を進めることになります。上記症状にあてはまる方、ご心配な方は当科にご相談下さい。
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