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病院のお話・健康コラム

Ⅰ期肺がんに対する体幹部定位放射線治療

放射線治療科

放射線治療科部長 阿部 達之

Ⅰ期肺がんに対する体幹部定位放射線治療

 Ⅰ期肺がんとは、肺がんの大きさが4cm以下で、リンパ節転移のない症例です。標準的な治療法は手術で切除しますが、呼吸機能低下で手術できない、あるいは手術可能でも患者さんがそれを希望しない場合、体幹部定位放射線治療が適応になります。

 定位放射線治療とは比較的小さな病変に多方向から大線量を1~10回で照射する方法です。もともとは脳転移に対するガンマナイフ治療が始まりです。ガンマナイフ治療は金属製フレームを頭部にネジ止め固定するため、1回で治療を完了するのが基本です。ガンマナイフ治療は脳外科医のレクセルらが開発した方法で、標準的分割照射が当たり前だった放射線治療医の目からみると異質な照射方法に思えましたが、局所制御率は手術に劣らず、さらに手術よりも患者さんへの負担が圧倒的に軽かったため、現在ではガンマナイフやリニアックを用いた定位放射線治療が脳転移の標準治療になっています。
 転移に効果的であれば、肺がんにも有効であろうと、1994年植松らが肺がんに対して定位放射線治療を開始し良好な置県成績を得たことから、この治療法は世界中で広く行われるようになりました。現在では体幹部定位放射線治療として、比較的小さな肺がん、肝がん、膵がん、前立腺がん、脊椎転移に保険適応が広がっています。

当科で行っている肺がんの体幹部定位放射線治療

適応
・がんの大きさが3cm以下が理想です
・リンパ節転移なし、遠隔転移なし
・30分ほど仰向けでじっとしていられる
・間質性肺炎がない

方法
・呼吸でがんが大きく動く場合は、プラスチック製固定具を作成して動きを抑制します
・治療計画CT撮影
・放射線治療装置でリハーサル
・肺がんが肺野末梢にある場合は1日1回で4~5回
・中枢型(肺がんが中心よりにある)の場合は1日1回で8~10回
・通院で行います

副作用

・照射中や直後に体調変化はありません
・がんと食道が近い場合、一時的な放射線食道炎がおこるかもしれません
・終了3~5ヶ月後、がんのあったところを中心に、放射線肺炎が出現します。レントゲン写真やCTでもやもやした白い陰影(放射線肺炎)が出現します。これは高線量の当たった肺に必ずおこる変化で避けることはできません。この陰影(放射線肺炎)をがんの再発と誤って追加治療をせずに経過観察を続けると、陰影は大きさを変えながら、最終的に瘢痕(器質化影)となって安定します。
肺炎症状(せきや息切れ)がでることはまれですが、がんが大きいとそれだけ高線量のあたる容積は大きくなるため、肺炎症状の出現するリスクは増大します。症状がひどい場合はステロイド剤の服用が必要になる場合があります。

症例

糖尿病や肺気腫があり手術を拒否された肺がん症例です。中枢型で脊髄と気管に近接していたため、60Gy/8回の体幹部定位放射線治療を行いました。2.5年後のCTでがんは消失しています。肺気腫があるため放射線肺炎が目立ちません。

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