放射線治療科部長 阿部 達之
Ⅰ期肺がんとは、肺がんの大きさが4cm以下で、リンパ節転移のない状態です。手術が標準治療ですが、呼吸機能低下のため手術ができない、あるいは手術可能でも患者さんがそれを希望されない場合、定位放射線治療が適応になります。
定位放射線治療とは比較的小さな病変に多方向から大線量を照射します。1日1回の照射を1〜8回行います。比較的小さな脳転移、肺がん、肝がん、膵がん、前立腺がん、脊椎転移などに保険適応があります。
適応
・がんの大きさが 3〜4cm以下
・リンパ節転移や遠隔転移がない
・30分ほど仰向けでじっとしていられる
・間質性肺炎がない
*間質性肺炎は、肺が硬くなる特殊な肺炎です。
方法
・専用の体幹部固定具を作成し、呼吸によるがんの動きを抑制します。
・治療計画CT撮影
・放射線治療装置でリハーサル
・肺がんが肺の末梢側にある場合は、12グレイを4回照射します。
・肺がんが中心側にある場合は7.5グレイを8回照射します。
・平日に毎日1回、通院で照射します。(土日祝日はお休み)
・体調に変化はありません。
・がんと食道が近い場合、一時的に放射線食道炎が起きることがあります。
・照射終了3〜5ヶ月後、がんのあったところを中心に、放射線肺炎が起きます。レントゲン写真やCTでもやもやした白い陰影(放射線肺炎)が見られます(基本的には無症状)。これは高線量の当たった肺におこる変化でほぼ必発します。この陰影(放射線肺炎)は、経過観察を行っていくと大きさを変えながら、最終的に瘢痕となって安定します。放射線肺炎によって咳や息切れが出現することはまれですが、がんが大きいほど肺炎症状が出やすくなります。症状がひどい場合はステロイド剤の服用が必要になる場合があります。命に関わる重篤な放射線肺炎の発生頻度は1%未満です。
糖尿病や肺気腫があり手術を受けられなかった肺がん(赤矢印)の患者さんのCT画像です。がんの近くに脊髄(緑矢印)と気管(黄矢印)があるので、脊髄や気管を放射線の影響から守る必要がありました。1回7.5グレイを8回照射しました。2年後のCTでがんは消失しています。放射線肺炎は幸い目立ちません。
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