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病院のお話・健康コラム

足の外科疾患

整形外科

整形外科 引地 俊文

足の外科疾患

足の骨は30個近く存在し、それぞれに靭帯や腱が付着しています。このため足の外科疾患も多種多様です。
今回はその中でもいくつかの手術についてお話しします。

外反母趾手術(DLMO法)

外反母趾に対する小侵襲な手術方法です。従来であれば、大きく皮膚切開し、プレートで固定する方法ですが、キルシュナー鋼線で固定する手術が報告されて以来、多くの施設で実施されてきた信頼のおける手術方法です。イラストのように小皮切で骨を切り、鋼線を挿入することで必要最低限の軟部組織への負担で手術加療を行う事ができます。
手術は1-2時間程度、皮膚切開は2cm弱で、退院まで5日ほど、社会復帰(重労働を除く)までは鋼線を抜去する28日ほどが見込まれます(患者様の状態によって異なります)。前足で蹴り出す踏み返しの動作は骨癒合までの3ヶ月程度を要します。

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足の状態(重度の外反母趾)によっては異なる手術方法が良い場合がありますのでご相談ください。
外反母趾に伴い人差し指や中指の下に胼胝(たこ)があり痛みがある方は、2.3趾についても同時に治療することで痛みが改善できる可能性が高いです。詳しい説明は来院して聞いてみてください。

変形性足関節症(固定術、遠位斜め骨切術、人工足関節)

変形性足関節症では歩行時などに足首の痛みがでます。いわゆる軟骨がすり減った状態です。昔の捻挫が原因になっていることが多いと言われていますが、リウマチや痛風などの炎症によっても引き起こされます。図の様に少しずつ軟骨がすり減って痛みが出現します。立位でレントゲンを撮影することで、この病気が初めてわかります。
インソールや内服での治療で痛みが改善しない場合、手術も選択肢となります。
手術療法は固定術、関節温存術(遠位斜め骨切術)、人工足関節置換術の3つがあります。
いずれも疼痛改善の効果がありますが、どの術式にもメリットとデメリットが存在します。具体的には術後の可動域制限や感染のリスク、体重をかけられない時間などに差があります。詳しくは来院して聞いてみてください。
手術方法は多くは足関節に約10cm程度の皮膚切開で行います。退院は3週間ほどかかることが多く、社会復帰までは2から3か月ほどの見込みです(患者様の状態によって異なります)。

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有痛性外脛骨、足根骨癒合症

小児、特に中学生、高校生の捻挫後の疼痛でなかなか治らない場合、体重をかけるだけで響く様な痛みがでる場合、うちくるぶしの下に痛みがある場合には有痛性外脛骨や足根骨癒合症である可能性があります。
いずれも成長の段階で余剰な骨が出現したり、骨同士がうまく離れて形成されなかったりした時に起こる病気です。痛みがない場合もありますが、捻挫などを契機に痛みが強くなることがあります。レントゲンは有痛性外脛骨の方の画像です。

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インソールなどで改善がない場合には手術も選択肢となります。
手術はドリリングや外脛骨自体を切除し、そこに付着する後脛骨筋腱を再固定する手術が適応となります。有痛性外脛骨は特に活動性が高い場合痛みが遷延しやすいため手術で改善する可能性が高いです。
癒合症については30歳〜50歳まで痛みの原因がわからずに、CTやMRIをとって初めて見つかる場合もあります。特に内果の下に二つ目のこぶ(Double malleolus sign) がある場合にはその可能性が高くなりますので一度相談にきていただくことをお勧めします。
手術は約2時間程度、入院期間は2、3日であることが多いです。癒合症の場合には術翌日より痛みに応じて歩行をして頂く場合が多く、有痛性外脛骨の場合には3-4週ギプス固定と免荷期間を要しますので、松葉杖での退院となります。

リウマチ足

リウマチでは高度な足部変形をきたします。これにより圧負荷がかかり、胼胝(たこ)ができるのが痛みの大きな原因となります。
内服やインソールでの改善に乏しい場合には物理的な圧迫の除去のために手術の適応があります。状態によって従来から行われている関節切除形成手術や、近年行われている関節温存手術が適応となります。

屈指症

指が曲がる病気です。これには外反母趾変形や局所的な筋バランスの変化(脳梗塞や脳出血、腰椎疾患によるもの)が原因となります。この病気の痛みも胼胝が原因となる場合が多いです。
腱切離やPIP関節の切除形成術、PIP関節の固定術を行うことで痛みと変形の改善が得られます。
他にもあまり一般的には知られていない疾患には有痛性扁平足、足関節捻挫後の疼痛(慢性足関節不安定症、三角骨障害、Os subfibulare、腓骨筋腱脱臼)、変形性リスフラン関節症、骨折後変形治癒、屈指症、尖足変形、高度な足部変形等があります。
これらの疾患は、特に着目して検査や診察を行わないと原因が分からないこともあるため、足(足首より下)が痛いという方は一度診察に来て頂くことをお勧めします。

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