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病院のお話・健康コラム

変形性膝関節症の治療について

整形外科

整形外科副部長/関節再建外科・人工関節センター センター長 五十嵐 健太郎

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症は、ケガの後遺症や、ご自身の持って生まれた骨の形といった個性に加え、年齢による変化が伴うことで膝関節に引き起こされる疾患で、関節の軟骨が摩耗し骨同士がこすれてしまうことで炎症と痛みが生じるものです。日本国内で症状がある患者さんは1000万人,予備軍を含めると3000万人と言われています.
病状が進行すると,投薬や注射などの薬物療法やリハビリといった運動療法による保存治療を受けても痛みにより日常生活が制限されることがあり、こういった場合には手術加療を考慮することになります.

変形性膝関節の手術加療

手術は大きく分けて「関節温存手術(骨切り術)」と「人工関節置換術」の2種類になります.

「関節温存手術(骨切り術)」
 変形性膝関節症は多くの場合,膝の内側の軟骨がすり減ることでO脚が進行し,体重が傷んだ内側関節にかかるため,つらい膝にさらに負担がかかるという悪循環に陥ります.そこで,脛骨(すねの骨)あるいは大腿骨(太ももの骨)を切ってO脚をまっすぐ~ややX脚気味に矯正することで変形があまり進んでいない外側に体重を逃がす関節温存手術が骨切り術になります.当院の病院長である土屋医師は、この変形矯正の領域で世界的に有名な米国の医師と共に切磋琢磨しながら研究を行い,これまでの骨切り術で課題となっていた点を解決することを目的に、新たな手術方式(Focal Dome Condylar Osteotomy: FDCO)を開発しました(Igarashi K, Tsuchiya H, et al. Arthrosc Tech. 2020 Jul 28;9(8):
e1079-e1086. )→https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32874886/.
この術式は、2022年に米国で開催された31thLimb Lengthening and Reconstruction Society(LLRS)でその術後成績と共に発表され、Best Paper Award - 4th Placeを受賞するなど、海外においても評価されている手術です。比較的内側に限局した早期から進行期の変形性膝関節症に適応があり,術後もスポーツ活動などをご希望される活動性の高い患者さんが選択されることの多い術式ですが,人工関節と比べるとリハビリ期間が長いといった特徴があります.

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「人工関節置換術」
 傷んだ部分のみ一部を人工関節に置き換える単顆型人工膝関節置換術と関節全体を置き換える人工膝関節全置換術があります.
単顆型人工膝関節置換術は内側に限局した変形性関節症でO脚があまり進行していない変形性膝関節症に適応があり骨切り術と迷われる患者さんもおられます.術後に激しい運動をすると,インプラントの早期摩耗につながるため,それほど活動性が高くない患者さんが選択されることが多く,また骨切り術と比べるとリハビリ期間が短いといった特徴があります.
人工膝関節全置換術は内側だけではなく外側の関節も人工関節に置き換える手術で,比較的進行した変形性膝関節症まで広い適応があります.重度のO脚であっても,手術でまっすぐな足に調整することで人工関節としての耐久性向上を目指しています.当院では令和5年4月から人工膝関節全置換術支援ロボットの臨床導入を開始しました.「関節再建外科・人工関節センター」センター長である五十嵐医師は,前任の金沢大学においてこのロボットの導入から100例を超える人工膝関節全置換術の執刀経験を活かし,地域の患者さんに大学と同様の医療の提供を行うことが可能となっています.ロボット支援人工膝関節全置換術の特徴として,正確な人工関節の設置とそれぞれの患者さんの靱帯等の軟部組織バランスにあわせた手術が可能な点があげられ,術後満足度の向上や早期の再手術率の低下といった良好な経過につながるという報告が散見されます.また,個々の患者さんにあわせた適切な靱帯バランスに調整することで術後の痛みが少なく,早期に退院できるという報告もあり患者さんにとってメリットがあると考えられます.実際に手術を行うのは整形外科医であり,術者が理想と考える人工関節の設置をするためにロボットが正確に角度や距離の調整をアシストしてくれます.

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