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病院のお話・健康コラム

誤嚥性肺炎とリハビリテーション

リハビリテーション科

言語聴覚士 中村 夏穂

誤嚥性肺炎とリハビリテーション

「誤嚥性肺炎」とは、主に唾液や食べものが気道に入ること(誤嚥)をきっかけに、口の中の菌が肺に入り込んで起きる肺炎のことです。また、食事中や日常生活でむせを繰り返している場合や、誤嚥や嚥下障害の可能性を持つ基礎疾患を伴う場合にも診断されることがあります。

しかし、食物を誤嚥しているのか、慢性的な唾液の微量誤嚥なのか、睡眠時の唾液の微量誤嚥なのかを判別することは困難です。慢性的な唾液の微量誤嚥や睡眠時の唾液の微量誤嚥は、意識障害・認知症・加齢に伴う口腔内の感覚低下、臥床時間の長期化でも起こり得ます。単に「口から摂取しなければ誤嚥はしない」というわけではありません。

また、誤嚥したからといって必ずしも誤嚥性肺炎を発症するとはいえません。誤嚥の量や誤嚥物の性質、体力、免疫力、喀出力なども大きく関係します。食事量が十分でなければ、低栄養や脱水状態となり"肺炎にかかりやすくなる"という悪循環にも陥ります。

言語聴覚士(ST)には、誤嚥性肺炎に対する摂食機能療法(摂食・嚥下障害のためのリハビリテーション)の依頼が少なくありません。そこで、まず嚥下に関わる各器官の動きや嚥下反射の速度や強さを視診・触診・聴診にて評価します。続けて、改訂水飲みテスト(水分を少量嚥下してもらい、嚥下機能を評価するスクリーニング検査)などを行います。これらの嚥下機能評価の結果、嚥下機能の低下を認める場合には、口腔内環境の改善を目的に看護師と協力し徹底した口腔ケアを実施します。さらに間接的嚥下訓練(喀出力の改善や咀嚼・嚥下の力を強化する体操など)や、直接的嚥下訓練(食事形態・食事姿勢・食事介助方法の工夫)を加えて行います。訓練内容は患者さんの症状・病態に合わせて検討し、必要に応じて嚥下造影検査(VF)も実施し、主治医・看護師、管理栄養士と連携を図りながら安全に食事を開始できる方法を追求していきます。

もちろん、誤嚥性肺炎が完治しても、「誤嚥リスク」を完全になくすことができない患者さんもいます。普段から口腔ケア、呼吸・嚥下体操、栄養管理などをしっかり行い、体力、免疫力、喀出力を高めて、誤嚥しても肺炎にならないようにしていくことが大切です。

言語聴覚士(ST)は、患者さん本人もしくはご家族への指導はもちろん、状況に応じて自宅療養に関わる介護職員や介護施設とも情報共有し、安全に食事を継続できるよう連携を図り、誤嚥性肺炎を再燃しないよう努めています。

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