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病院のお話・健康コラム

大腸内視鏡検査のすすめ

消化器内科

消化器内科部長 酒井 英嗣

大腸内視鏡検査のすすめ

国立がん研究センターが発表するがん種別統計情報によると,直近の大腸がんの罹患数(新たに診断された大腸がん患者数)は全がん種の中で1位となっています。大腸がんは早期に発見できれば根治できる可能性の高い癌であり,条件を満たせば内視鏡治療のみで治癒することもできます。

がんはその種別によって"罹りやすい"患者様の特徴が異なります。大腸がんと関連する因子として、食生活の欧米化、運動不足、遺伝的要因(親族に大腸がん患者がいる)などが挙げられますが、その関連は弱く、そういった因子がない方に大腸がんが発生することは稀ではありません。本邦では便潜血検査が健診として推奨されています。負担の少ない簡便な検査ですが、感度(大腸がんがある場合に検査が陽性となる確率)は30-80%とばらつきがあり、内視鏡治療の対象となる早期がんを検出することは難しいと思います。一方、大腸内視鏡検査は高精度のカメラでがんを視認できるため感度が極めて高いですが、前処置(液体の下剤を2L前後飲んで大腸をきれいにする処置)が必要で、特に高齢の方には負担が大きいと思います。また検査に伴う痛みが気になる方もいらっしゃるでしょう。

大腸がんの罹患率は50歳を超えると急激に上昇するため、米国では50歳以上の方に内視鏡を中心とした大腸がん検診を実施しており、死亡率は着実に減少しています。残念ながら日本では大腸がんに対する内視鏡検診は実施されておらず、保険診療上も無症状の方に大腸内視鏡検査を実施することはできません。まずは健診の便潜血検査をしっかりと受けて欲しいところですが、便秘やお腹が張るなどの症状がある方は、是非、内視鏡検査も検討ください。患者様の希望に応じて下剤を飲む場所(院内、自宅など)や鎮痛剤の使用を調整させて頂きます。

大腸内視鏡検査は感度(大腸がんがある場合に検査が陽性となる確率)が高く、がんを発見するための有効な検査ですが、もう一つ大きなメリットがあります。前がん病変である腺腫(大腸ポリープの多くを占める病変です)を切除することで大腸がんを未然に防ぐことができる点です。大腸の発がん過程はよく調べられており、腺腫に複数の遺伝子異常が蓄積し、数年の期間をかけてがん化すると考えられています。

米国の研究で腺腫の切除により、大腸がん死亡率を半分以下に低下させることが明らかになりました。がん予防の観点では小さなものも含めてすべてのポリープを切除するのが理想です。近年,コールドポリペクトミーという合併症率の低い切除法が普及し、10mm以下の病変は日帰りで治療できるようになりました(図1)。心臓や脳血管の病気のため血液をサラサラにするお薬を内服されている方でも比較的安全にポリープを切除することができます。10mm以上のポリープは形や大きさに応じて最善の治療法を選択し、入院で切除します。20mmを超えるような大型病変は早期がんの可能性も考慮して粘膜下層剥離術(ESD)という一番根治する可能性が高い治療法を選択しますが、難易度が高く、穿孔(大腸が破れてしまう合併症)に注意が必要です(図2)。私と副部長の清水医師はこの治療の専門家で、当院のみならず、国内や海外の様々な施設で後進の指導・育成を行っています。


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