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薬剤科部長 山田 裕之
本年(2024年)10月1日から、医療における『選定療養』制度が拡大され、医薬品使用へ導入が行われます。現在、『選定療養』は地域医療支援病院に紹介状なしで受診した際に支払う初診料や入院時の差額ベッド料が対象ですが、今回処方箋発行時医薬品に先発品の使用を制限するというものが加わります。この《先発品の使用を制限する》という部分に関して、もう少し詳しく説明いたします。
医師より発行された処方箋には、治療に使用する医薬品名と使用量や日数等が記載されます。今回の対象は使用する医薬品名であり、ジェネリック品があるにも関わらず患者が先発品を希望する場合です。具体的には、「医療上の必要性がないにも関わらず患者が先発品(長期収載品と言います)を希望」した場合は、先発品(長期収載品)とジェネリック品の価格差の4分の1を、患者自身が負担するようになります。この施策の背景にある考えは、『限りある医療財源を大切に使用する』というものです。
それでは、高血圧症で使用頻度の多い【テルミサルタン】という成分の40mg錠を具体例で示します。先発品(長期収載品)は[ミカルディス錠(38.2円/錠)]であり、ジェネリック品の最高額は[テルミサルタン錠「販売元名」(10.2円/錠)]です。
この差額28.0円の4分の1である7.0円がミカルディス錠を希望する患者負担となります。一見では負担額が安いように思えますが、実際はこれに処方日数を乗じるため60日処方でしたらば420円となります。さらに同時に処方される他の医薬品も先発品(長期収載品)希望とすると、その分も負担額に加わります。慢性疾患の患者では服用薬剤が5~7剤であることが多く、そのうちジェネリック品のある先発品(長期収載品)が3剤あるとすると、患者さんの自己負担額は1,000円を超える可能性が高いと考えられます。ただし、「医師や薬剤師が医療上の必要性があると判断した場合」などは、ジェネリック品でなく先発品(長期収載品)を使用したとしても、通常の保険給付が行われ、患者に『選定療養』負担は生じません。なお、今回対象となる医薬品は660成分であり、今後は増える予定となっております。
本制度に関する詳しい内容は、以下の厚生労働省ホームページをご確認下さい。サイトマップはこちら
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