国家公務員共済組合連合会 横浜栄共済病院|栄区唯一の救急医療機関|地域医療を新たなステージに高める

アクセス
メニュー

病院のお話・健康コラム

気胸について

呼吸器外科

呼吸器外科 医員 丸山 来輝

気胸について

気胸は肺に穴が開いて肺がつぶれる病気です。

タイヤのパンクのようなものです。肺は私達が生きていく上で欠かせない臓器で、そこに不具合が生じれば当然一大事です。

幸いにも肺は左右1つずつ備わっていますので,どちらかが気胸を起こしても、命に係わることは少ないです。しかしこの病気の厄介なところは、再発してしまう人がいる事です。

そこで、まずこの病気をよく理解してどのような治療を選択すれば良いか、また今後この病気とどのように付き合えばいいかを考えていきたいと思います。

・気胸の種類

  • 自然気胸・・・一番多く何の前触れもなく、突然起こるため自然気胸と呼ばれています。発症しやすい年齢には以下2つのピークがあります。

ⅰ)10-20歳代・・・肺の表面にある胸膜に一部弱い部分が生じ袋状に膨れ、穴があき空気が流出します。細身で胸板が薄い「気胸体型」と言われる方に多いです。

ⅱ)40-70歳代・・・喫煙により肺が壊され、肺実質がスカスカの状態(肺気腫)になり穴があいて気胸になります。

  • 外傷性気胸・・・転倒などして肋骨骨折をした際に肺が損傷して気胸を起こします。この場合は出血を伴い「血胸」を合併する事があります。
  • 続発性気胸・・・肺にもともと癌などの病気がありそれが原因で起こるものです。
  • 医原性気胸・・・他の医療行為が原因で起こるもので稀です。
  • 月経随伴性気胸・・・月経周期にあわせて気胸になる珍しいものですが、女性は頭の隅においておかなければなりません。

・症状

肺の潰れる程度により異なりますが、一般的には胸痛や胸部圧迫感、肩や背中の痛み、呼吸困難や咳が出ることがあります。漏れている空気が多いと心臓や反対側の肺を圧迫(緊張性気胸)し血圧低下やショックとなる事があります。

・検査

X線検査やCT検査で診断します。

・治療

  • 安静・・・軽度であれば安静にして空気の流出を最小限にとどめます。小さな穴であれば自然に塞がる事があります。
胸腔ドレナージ・・・ある程度肺が潰れてしまった場合は胸腔ドレーンを入れて漏れた空気を外へ逃がす必要があります。胸腔ドレーンの処置は局所麻酔で行い通常は15分程度で終わります。挿入後に違和感、痛みが生じることがあります。その場合は痛み止めを処方します。

kikyou1_20250114.png

  • 手術・・・次のような場合に手術を勧めます。ⅰ)肺が十分に拡張しない。ⅱ)空気漏れが続く。ⅲ)CTで責任病変と思われる肺嚢胞がある。ⅳ)胸腔内へ出血を伴っている(血気胸)。ⅴ)両側性。
全身麻酔で胸腔鏡下手術が主流です。癒着などで創を大きくする場合があります。

kikyou2_20250114.png



・最後に

気胸についてご理解頂く一助になれば幸いです。何かご不明な点がございましたら遠慮なく当院呼吸器センターまでお問い合わせください。

  • 外来受付

    AM 8:30 ~ AM 11:00

    診療科により、受付時間が異なる場合がございます。
    詳しくは各診療科のご案内でご確認ください。

  • 休診日

    土曜日・日曜日・祝日

    開院記念日(7月15日に一番近い水曜日)
    年末年始(12月29日~1月3日)
    ※ 救急は24時間365日受け付けています。

  • 面会時間

    面会制限中