「杖」について

リハビリテーション

リハビリテーション科技士長 山口 和久

「杖」について

皆さんは、WHO(世界保健機関)の紋章や救急車の車体に、"杖にからむ蛇"が描かれていることをご存じでしょうか。医療のシンボルで"アスクレピオスの杖"と呼ばれるものです。2025年は巳年であり、今回は関連のある杖についてご紹介しましょう。

 杖は高齢者や足腰に傷病を有する人が、安定した歩行のために使用する福祉用具です。また、白杖は視覚障害者等の安全の確保のためにも用いられています。今回、杖を利用する上で知っていただきたい点を簡単にご紹介しましょう。

 まず、歩行時の杖に期待する効果としては①足腰への負担軽減②痛みの緩和③ふらつきの抑制が挙げられます。これらの相乗効果により歩きやすくなると言えます。また④杖があるという安心感⑤周囲へのアピールという付帯効果も生じてきます。

 次は杖の種類と特性についてです。

 1つめのT字杖(図1)は最も普及しているタイプで、歩行はできても安全性や持久性に支障がある方に適しています。伸縮式や折り畳み式などいろいろな仕様のものがあります。

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2つめの松葉杖(図2)は、下半身の傷病の際に体重を上肢全体で支えることにより、下半身への負荷を調節するために使用します。2本一組、もしくは片側1本で使用します。

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3つめはロフストランドクラッチ(図3)です。松葉杖と同様に下半身の傷病の際に使用しますが、松葉杖ほどの安定性はありません。しかし、上腕を支えるカフと体重をかけられる握り手があるため、腕の力が弱い方でも扱いやすくなっています。T字杖と松葉杖の中間的な杖と言えます。

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 4つめは多点杖(図4)についてです。杖の先が4つまたは3つに分かれていて、接地面積が大きくなっています。その分安定性があり、体重をかけても倒れにくくなっています。ただし、全ての脚が接地していないと不安定となるため注意が必要です。

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杖の取得には購入とレンタルする方法があります。レンタルする場合は介護保険サービスを利用することも可能です。ケアマネージャーに問合わせてみるとよいでしょう。

杖は使用する方に合わせて適切な種類・サイズ・使用法を選ばなければなりません。リハビリスタッフや医師などの専門家に相談の上で利用しましょう。また安全に利用し続けるために、メンテナンスも大切です。ゴム先のすり減り(図5)・シャフトの歪み・ガタ留めナットの緩み(図6)等の部品劣化や破損は、転倒リスクになり得るので定期的なチェックが必要です。歩行の良きパートナーとして上手に付き合って行きたいものです。

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