リハビリテーション科 サルコペニア・フレイル指導士/骨粗鬆症マネージャー/理学療法士 馬場 淳
サルコペニアとは、加齢や活動量の低下などにより筋肉量と筋力が減少し、身体機能が低下する状態を指します。筋肉(筋力)は40歳頃から少しずつ減少し、70歳頃から重いものが持てなくなる・椅子からの立ち上がりがしんどいなどの自覚症状を認めます。進行すると、転倒や骨折のリスクが高まり、日常生活に支障をきたす可能性があります。
原因としては、加齢による筋肉合成の低下、たんぱく質摂取不足、運動不足、慢性疾患などが挙げられます。特に外出機会の減少や長期の安静は、筋力低下を加速させる要因となります。
予防・改善には「運動」と「栄養」が重要です。運動では、無理のない範囲での筋力トレーニングやウォーキングが効果的です。栄養面では、肉・魚・卵・大豆製品など良質なたんぱく質を意識して摂取することが大切です。また、魚・きのこ類などに含まれるビタミンDの摂取や日光浴も筋肉の維持に役立ちます。
では、サルコペニア・足腰の筋力バランスを簡単にセルフチェックしてみましょう!
①指輪っかテスト(最も簡単)
利き足1)と反対のふくらはぎの一番太い部分を、両手の親指と人差し指で囲みます。
◎囲めない→ 正常の可能性
◎ちょうど囲める → 筋肉量低下の疑い
◎すき間ができる → サルコペニアの可能性が高い
1)利き足;無意識によく使う足のことで、あぐらを組んだ際に上にくる足や、ボールを蹴る足などで確認ができます。

②SARC-F 日本語版:サルコペニア診断質問票

SARC-Fとは、5つの質問(S:筋力、A:歩行補助具の有無、R:椅子からの立ち上がり、C:階段を登る、F:転倒)で構成されています。これらの質問に対し、「まったく難しくない」〜「とても難しい」まで0~2点で回答、そしてFは回数に応じてスコアをつけ、その合計点数(10点満点)で評価します。
4点以上でサルコペニアの可能性が高くなります。
③片足立ちテスト(目標60秒)
素足で、滑りにくい床に立ち、両手を腰に当てる。
立ちやすい側の足で立ち、もう一方の足を床から5cmほど上げ、立っていられる時間を計測する。
◎15秒未満(筋肉量低下の危険性あり)
◎10秒未満(筋肉量低下に加え、転倒リスクも高い)
④5回立ち座りテスト
1)ひじ掛けのない椅子に座り、両手を交差して胸に当て、両足は肩幅程度に開く。
2)椅子に座った状態から、反復して立ち座り動作を5回繰り返し、かかった時間を計測する。
5回立ち座りする動作に12秒以上かかった場合は、サルコペニアの可能性があります。
⑤横断歩道を渡り切れない
歩行者用の信号の多くは毎秒1mの歩行速度で渡り切れるように設定されているため、筋力が低下して歩行速度が落ちると青信号のうちに渡り切れなくなる。
ポイント
これらはあくまで「簡易チェック」です。
1つでも当てはまる場合は、運動習慣の見直しや医療機関の受診をおすすめします。
サルコペニアは早期に気づき、対策を行うことで進行を抑えることができます。「最近つまずきやすい」「握力が弱くなった」など身体の変化を感じた場合は、早めに医療機関に相談してください。日々の生活習慣を見直し、健康な体づくりを心がけましょう。
参考文献;
1)一般社団法人 日本サルコペニア・フレイル学会
フレイルとは | https://www.jasf.jp/contents/flail.html
2)日本サルコペニア・フレイル学会誌2019 年 3 巻 1 号 p. 16-20
特集1.サルコペニア・フレイルのコントロバーシー
サルコペニアの診断:現時点でどの診断基準を用いるべきか
AWGS基準
小原 克彦
当院について