健康コラム

便潜血検査について

消化器内科

消化器内科 酒井 英嗣

著名人が大腸がんに罹患したことで、ワイドショーで大腸がん特集が組まれるなど関心が高まっています。早期大腸がんに適切な治療介入を行った場合はほぼ100%根治するため、大腸がんの早期発見が重要な課題となっています。日本における大腸がん検診といえば、便潜血検査であり、40歳以上になると各自治体から毎年検査の案内が来ているのではないでしょうか。便潜血検査は簡便ですが、万能ではありません。このコラムでは便潜血検査について掘り下げていきたいと思います。

 日本対がん協会が2020年に行った全国調査によると、便潜血陽性だった方が実際に内視鏡などの精密検査を受けた場合、大腸がん発見率は約4%となっています。25人に一人ですから、意外と精度が低いな、と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、便潜血検査は2回1セットで実施することが多いのですが、1回の検査では進行大腸がんへの感度(がん患者のがんを実際に検出できる確率)が約70%であり、2回実施しても85%程度にとどまるとされています。しかも、出血しにくい早期大腸がんでは更に感度が低くなりことが容易に想像されます。以上から、便潜血検査は"多数の無症状の方の中から大腸がんの可能性が高い人をひっかける検査"であり、"大腸がんの早期発見には適さない"と言えます。

では、便潜血検査は不要なのでしょうか?私はそうは思いません。前がん病変であるポリープががん化するまでの時間は、他のがんに比べて長く、5年から10年とされています。1回の便潜血検査では感度が十分とは言えませんが、一定の間隔で繰り返し検査を受け続けることで検診としての効果が蓄積され、手遅れになる前にがんを発見できる可能性が高まります。さらに、内視鏡検査への橋渡しをすることが便潜血検査の最も重要な役割と考えます。便潜血陽性の方の内視鏡検査での大腸がん発見率は低いですが、約半数でポリープが見つかります。この大腸ポリープの切除が大腸がん予防の要です。精密検査の際に前がん病変であるポリープをついでに切除することで5年後、10年後の大腸がんを予防できるというわけです。

当院では鎮静・鎮痛剤を用いた苦痛の少ない内視鏡検査を提供しており、それほど大きくないポリープであれば日帰りで切除可能です。便潜血検査が陽性だったけど内視鏡検査を受けてない、という方は是非消化器内科を受診してください。

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